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2019.02.19
『空気を読む』ということ
企業が新入社員に望む能力として、常に高い位置を占めるコミュニケーション能力。
しかし、ハローワークの求人窓口に出向いて聞かされるのは、接客・営業など人と関わる
仕事を若い方が敬遠する傾向にあるという現状。
携帯電話の普及に伴い、意思疎通のほとんどをメールやLINEで済ましてしまうため、
「今どこ?」「学校」「行ける?」「わからない」「無理」そんな一言で
自分の言いたいことしか言わない一方通行のツールとなっています。
これは対話ではありません。
こうしたコミュニケーションに慣れていると、対面で自分の意見を言う時にも「言い切り」になってしまいがちであり、
長いメールを読むのが面倒くさい、相手の話が聴けないなどの現象が起こると言われています。
「空気を読む」能力というのは、そもそも人間関係が重視される傾向が強い「高文脈文化」だからこそ、言葉で
細かく説明するのではなく、見て仕事を覚え感じとるという日本独特の伝統があったのです。
対人コミュニケーションの場があって初めて身に付く力、喧嘩して、怒られて何が悪いのかと周りを見ながら体験して覚えて
いく、人にもまれながら身に付けていくものでした。
欧米ではどうかといえば、空気を読む代わりに言葉のスキルをたくさん教育しています。
対立や拒否から議論を重ねるトレーニングをたくさんし、相手と違う意見をぶつけ合う中で相手の意図を探っていき、
話し合いで解決する。だからこそ言葉を大切にしているし、言葉に責任を持つ訓練をしています。
社会も多様化し、日本でも空気を読めない低文脈化が進んでいるというのに、欧米のような言葉を話す訓練をしていません。
物言わぬ我々の社会で、空気が読めなくなったとしたら、ほとんどコミュニケーション不能な状況が危惧されます。
大切なのは、しっかりと言葉にして話すこと、そして伝えることなのではないかと切に感じています。